”選ばれたプロ用だけ”の「手ならし」を軟式の戦士に届ける江頭重利
江頭自ら一個一個分解、叩き、お届けする…同社名品「L7」稼頭央用をさらに「新軟式球」へと対策進化させた内野手用【5−6】モデル
(3塁・遊撃用)

軟式革命戦史博物館

グラブ作家、江頭重利と、(文中敬称略)氏
の手がけた、名手巧手の”歴戦グラブ”と、
それらに遺された栄光の傷痕につき、軟式
の愛すべき『必死プレーヤー』のためひとつ
ひとつを参考としてもらうべく、じっくり忌憚の
ないお話をうかがってきた。(文中敬称略)
文責:撮影:前野重雄
氏にとっての【教材グラブ】。ウェ
ブも何もない1930年代(ルースやゲーリッグの頃の)モデルと通底する手のひらで獲る…グラブGlovesは、ひっつかむ(英語のグラーヴの派生語)なのかもしれない!のだ。
BWのOB名手福良淳一の品、辻モデルを愛用し『連続無失策記録』を樹立=ポケットとは…が一目瞭然。ウェブはまったくキャッチングに参加していないようにみえる。 福良が『ただボールを受けるの
ではなく』いかに『グラブ内側の指』で、ギュッと球体を掴んでいたか…痕跡がクッキリと刻まれている。
『連続無失策836』近代野球の要=セカンドの星=福良に辻…と、江頭は契約料ではなく、何よりも『グラブの質』で愛器を選択し、江頭に独占させてきた。指痕に注目!

ロベルト・アロマー実使用
(SSK社製 特注:Mets在籍時)
そう、「要らない」のかもしれない
前野は驚いた。福良の4年も愛用したこの個体のウェブには、たったこれだけしかボールとの接触の痕が遺されていないのである。彼らはウェブには全く頼ってはいない…ということか。
アロマーにしろ、手のひらにほとんどの捕球時の重点が置かれ、キャッチしていた形跡は中央部に集中。見にくいが「ウェブ下方の痕」もほんの僅か…にとどまっている。黄金の名セカンドもWebなんて『念のためのおまけ』なのか 『こうして、これだけで本来はつか
めにゃいけんのですよ。ウェブは
内野手の場合、外野に抜けてし
まうダイビング捕球等にだけ頼る
のが基本』、「投球動作への移行
を最優先」に…なのだそう
名手はこうしたスクランブルキャッチ体勢でも、江頭の云うようにグラブの親指を締めながら、”手のひら”へとボールを導いているのが見て取れるだろうか。あくまで【ウェブはパニックキャッチ】のためでしかない

じゃあウェブは要らない…のかよ

松井はデヴュー以来徹頭徹尾『江頭グラブ』にこだわった。1シーズン
フルに闘いゴールデングラブ賞の指定席を氏の「松井モデル」が支え、手ならしがこれを保障し続けた。
稼頭央は通常のショートには考えられぬ広い守備範囲の打球にも好んで関わってきた男だ…が、卓越しているのはそれらトンでもない打球に関しても『これだけ』の場所へ…とボールを呼び込んできた。 江頭製の『トレーニング”グラブ”』の正しい「ポケット(?)」位置とグラブ内部の指の位置。ウェブに頼らずここで弾ませ送球する指へとトスし、『併殺を狙うべき!』という。「目の真下」で獲らなあかんよ…と、江頭は優しく指導する。 1シーズン分の衝撃が内側に仕込んだグリースをこうして呼び上げ『自分流ポケット』を固めてゆく。江頭が手がける『軟式革命』も全く同じ構造、使う者の巧拙をハッキリ「証拠」として(笑)遺してしまう。だが油脂を塗った訳でもなく、見事!のひとこと

このグラブは稼頭央らを経て、さらに新段階へと発展する

この確固たる左手の【グラヴ】した
強烈な物的証拠はなんだろう。物
凄い握力で打球を”グラヴ”してい
る瞬間が誰にでも解る。こんな天
才がずっとこの江頭の品を愛し
続けた事にボクは深く感動した。
ボクらはいつの間にか「ボール
をグラブ内に『収納』すればいい…と考えていなかっただろうか。稼頭央のこの個体は間違いなくグラブとは「ボールを『つかむ』ものなのだとあらためて教えてくれる。
我が松井モデルのウェブを中村紀が2ピースにアレンジし、それを松
井がマネをしたワケだが、江頭は
軟式革命』では「軟球で2ピース
ウェブはダメ。硬式ボールの質
量があってこそ、あんなカッコだけのもの本当はやりたくないんだ」
中村紀は松井から「江頭グラブ」を教えられ使用を始めると、いきなり
のゴールデングラブを連続授賞者
へと大変身(笑)。今度はそれをキ
ャンプ取材に来た広岡御大が惚れ
込んで伝道者に…愛用者が増えることに。

いよいよベールを脱ぐ【新球対策