モバイルドキュメント こだわりの旅
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'65当時の特急・寝台切符(硬券)北見・上野間!2列車乗り継ぎだ

今だからワカる《イチローメジャー入り前》にどんな【評価をされていた】か。
温故知新のスポーツジャーナリストの「”実力”見分け術」

Part1「いってらっしゃいイチロー君」          
  2001年2月頃(メジャー入り、初始動時)
 イチローのキャンプだよりが大賑わいだ。
 やれ、フリーバッティングで詰まり気味だの、守備は相変わらず首脳陣をうならせる…だの。

 評論家、マスコミとも『イチローはメジャーではソコソコ』だろう…と、口を揃えている。あの”イチローとも親しい”がウリのCX系解説者(元首位打者・現新監督)T氏でも
『2割7・8分でしょう。それにメジャーは移動がきついからあの身体ではこたえるはずですね』。
 T氏はそれでも他評論家との比較では、かなりの高い評価である。それでも『3割』を言う勇気は見当たらない。

平均的なコメントっていうとこうだ。
『かなりイケると思いますよ。』と第一声の後、必ず付け加えるのが
『でもね、メジャーは移動がきついから成績はそうは伸びない』
と彼らは一様に”保険”をかけておくのを忘れない。

 大人というか、現役を離れ評論家業をメシの種にすると途端に情熱が冷めて、引退生活を先延ばししたくなるものらしい…自己保身だけのヒトって汚いね。

 イチロー君にしろ清原君にしろマスコミ関係を嫌うのは一様にソコ。
 つまり『自分の言葉で(後で)ワリを喰わない』ことが第一、だから予測をしない数字は出さない。
 ドロにまみれるとか立場をかけるような接し方をしてこない…。

 だからああして身体を投げ出して格闘しているプレイヤーに対しては、口が重くなる。
 当然だろうね。
(確認しておきますが、この表記はあくまでも2001年に発表していたものです。前野)
 ……イチローの活躍は痛快だけど、手っ取り早く面白いのは今年のメジャー開幕前と、開幕後のスポーツマスコミでの「イチロー予想」が笑えるわけだ。

 活躍している今など正直に『まさかこんなに凄いとは思わなかった』と素直に頭を下げて欲しいのだ。今はごまかしたつもりでも長期的にみたら結構バレてるぞ〜。

 今のうちに脱帽しておくのが営業的にはプラスだと思うな。
 《噂の真相》誌あたりがきっちりと後で『こう言ってたはずリスト』とか暴露してくるぞ〜、知らないかんね。

 ボクみたいに気象庁の《3ヶ月予報》とか新聞に載ったら切り抜いて3ヵ月後にその記事持って酒場で笑いのネタにするヤツなんかゴロゴロいるんだから。

 はっきり言っておくけど、イチローがメジャーでいくら移動に苦労しようがそんな肉体の疲れなんか彼にとっては屁でもないと思う。

 だって日本時代、『球場以外のイチローの生活』とは、365日というものマスコミやアブナイ方々、また危ない誘惑から始まり、尾行に注意し、また張り込み・待ち伏せの検索に、ダッシュしたり時には関係者を”先乗り”させるなど、まるで「過激派の非合法活動家」のように神経を細く張りめぐらす毎日だったのだ。

 腹が減った…メシ食いに行けば食い物屋に入るまでの間に尾行をまくところから始まる。
 ノレンをくぐれば食っている最中にサインしろ…という店主一同、「アラ私も…」組も参加する。そして写真を撮れだの「我が子を抱け」だの”お客様=神様”であるファンは甘え、帰ろうとしても外に不審者(車)あれば足止めされ、必要あればマイカーを店の従業員に頼み”陽動作戦”で的を引き付けることも。

 だから彼の”行き付けの店”というと必ず『非常口が意外な場所にある』、そういったお気に入りポイントが備わっていたものである(笑)。

 そうした人間が、助手席に新妻を載せ自ら運転し食事のひとときを尊重してくれるファンのいる土地へと移住したのである…考えてもみよ…、「逮捕状(の効力)」と「指名手配」が同時に解けたみたいな心境であろう。
 その24時間の心的疲労が解け、飛行機の乗り降りが多少増えただけの肉体疲労…、さてどちらがあなたの身体に障害としてひびくだろうか?

 それを指し、「移動が辛いから身体がもたないはず…」などといかにももっともらしく分析してみせる”専門家”の頭蓋骨の中味とはまさに絶望的な虚偽と無内容に満ちていると言わざるを得ない。

 少なくとも、評論家諸氏が仮に”かけだしライター”だったとしても、『イチローの日常生活』がこうした状況だったのくらい、オリックス関係者へ電話一本すれば誰もが知っていることだ、そのレベルさえ彼らは失格と言わざるを得ない。

 予想が当たらないといえばしっかし、気象庁ってホントに伊崎脩五郎みたいなのな(笑)。
 ホンットに見事に当たらない。軸に指名の”彼に指名された本命”など絶対に来ないし、いいトコもない。

 中継を眺めていて、ボクなどパソコン投票ですでに買った目が氏と同じ…と知ったとたん背筋が凍りつく。
 理由は簡単、今の今まで氏と同じ目を買って”来た”ケースなど一度も無かったからである。
 そもそもアレだけ当たらなければ、普通の者ならとっくに「道楽を通り越している額」となっているからだ。

 だからTVでの氏のコーナーは見逃さない。何故なら彼との”違い”を確認して初めて出走前に安堵感を持ち観戦に臨めるからである。

 氏もあまり当たらないと、たまに宗旨変えして本命進め”鉄板”などと当てにくる(笑)ことがあるが、そんな日にこそ番狂わせ…の大穴というパターンだ。

 「カラ梅雨」予報あざ笑い長雨の連続。冷夏のはずが猛暑。”まるで井崎”さん(笑)なのね、気象庁ってホントに恥ずかしいと思う。ボクなら給料要らない、返上するなァ。
 だけど井崎さんはあの外してしまうキャラであってこそ、「競馬」を明るいギャンブルに収めるヒートシンクとなっているのだろう。ギャラを氏にこそはずんで欲しいものだ。
 
『シゲオっ!いつもそんなにウソばかりついてると、しまいにゃ気象庁になっちまうよ』
『え〜、そりゃないよ。さすがそこまで堕ちないよもうウソつかないから』余談が長くなった。

 それと、放送上で自分の馬券予想をああして発表などできないなあ…オレは。
 一つでも外したらもうその後言えないものなあ、悪くって。
 多少なりともこちらのお奨めに乗って幾ばくかのお金を視聴者が投資した上で損をさせられるのである。
 とてもじゃないがボクは『ガハハ』なんて笑ってられないと思う。

 だけど考えてみたら、もっとみっともないのがメインの予想をする立場の『社説的一・二番人気主体』の予想するヒトだなあ。あれはカッコ悪い。

 井崎さんなんか謝ったり突っ込まれたりするだけマシなのだが、こうした”ツカない馬券”奨める連中に限って、きまって素直に、(予想外で)勝った馬を誉めることがない。
「他人事」のように、レース展開がハマらなかった…の、馬が汗かいていただの、ことごとく『だったみたいですね調』で片付ける。

 敗因のすべてでもないようなものに、愚にもつかない言い訳要因を並べ保身に懸命である。
 ボクらとは違ってこうした「人気サイド」を買うファンは張る金額が多く、一攫千金型だけに泡と消える金額が大きいはずである。だからこれら文化人型キャラの予想人への恨みも失った金額に比例した深いカーブを描くもんだ。潜在的に横たわる彼らへの恨みは根深であろう。

 なのに彼らは次週も、反省のカケラも見せず[上位人気馬]のタイコ持ちとして、学究肌キャラとしてもっともらしいコメントを並べ替える人生を続けるのである。
 誰が見ても強そうな馬、それこそ尻馬に乗るだけなのになんかエラそうなのだ、「論説主幹」みたいな。ちっともエラくなんかないと思うなぁ。

「Yさん、”ズバリ本線”でしたですねえ」
 偉くないよそんなの。『馬連340円』でどうすんだよ、3点も同じ程度のオッズの場所買うのかい?
 本命◎から「末端△」まで何点流しているんだよ〜、笑わせんなよ。大赤字じゃないか。
 そんなの馬鹿丸だしじゃん。

 あれで勝てないんだからカッコ悪いにもほどがある、むしろそうした生業こそ憐れですらある…。
 それにしても長い事気が付かなかったなあ、人気サイド予想家には。
 
 「イチロー長期予報」では堂々と『3割以上』と公言して残したのは三人。
 一人はオリックス打撃コーチの高畠康真さん(現ロッテコーチ)、”三割五分”とまで言ってのけた(「宝島」’01年二月号)。
 もう一人はイチさんが国内で唯一、肉体的な相談をする小山裕史さんというスポーツ生理学最先端のコンサルタント(鳥取市「ワールドウイング」)。彼はすごい。偉い。

「米国でも”首位打者”を狙えるんじゃないか。」
「イチロー君は”米国で通用するか”というレベルじゃない。”はるか上”です」と讀賣新聞の吉村良三記者に昨11月末には答えていたのが格段に光って、印象に残っている。

 それからもう一人がこのボク。
 そもそも人気のない馬が好きであって彼ら”無印組”の応援のつもりで買う馬券により、年間で約40〜50本の”万馬券”を当てる(のがとてもウレシイ)者だが、野球の方は久々にわがイチロー号が人気薄となったので予想にも気合が入った。

 ズバリ「盗塁王・打率3割2分」。盗塁王を取っても3割3分打てないと「新人王」はくれないだろう…と、自分のコラムに印した。

 また本人にもその数字は牛タンをつつきながらの渡米2日前、神戸三宮の「たん平」で歓送会をした際にそう申し渡した(笑)ところ、笑みを下マブタに浮かべながら『そりゃ無理でしょ』と本人が拒否。

 ところがその際、興味深そうにボクの目の内側をもう一度覗き込む…といったちょっとガンたれのようなフクザツな反応をしていたのがこれまた印象的だった。

 今考えると、”アレレ、盗塁王を狙っている”のがどうしてバレたのだろうか…と、こちらの真意も覗き込みたかった様子なのである。打率の方はあの時点ではご本人も未知数だったような印象である。


神戸の現場近くの商店街、名前に惹かれる…

 「たん平」で夕食を済ませ、イチさんの中学同級生らとそぞろ歩きながら一行は近所の「にしむら珈琲店」にハシゴ。ここで供されるバニラアイスクリームやケーキ…が、日本を離れるにあたって心残り…という彼の嗜好に、全員が参加したわけだ。

 「にしむら…」さんも、独自のコーヒー豆の焙煎では西日本の頂点…にもかかわらず、こうしたメニューでは張り合いがないかもね(笑)。

 だが、違う。珈琲の美味い店では押しなべてこうしたクリームが絶品であるものだ。
 逆にクリームに凝っていないようでは自店の珈琲に自信が無い証拠…といって良い。

 面白いもので珈琲の味は、たらすクリームの質により、また溶かすその量の多寡によって千変万化、色々な味へと姿を変える、”ふくらみを持った”ものである。

 それが証拠に東の雄、東京山谷の「珈琲屋バッハ」のクリームは絶品中の絶品だ。

 ここの寒季限定の《シュークリーム》に仕込まれたカスタードは、この絶品クリームをベースにし、また良質の卵(の黄身)という協奏曲が、この罪作りな【私的 日本一】のシュークリームという、バッハコーヒーの”副産物”と呼ぶには申し訳けない珠玉の逸品を送り出しているほどだ。

 ちなみにボクは未だ「ブラック」党である。カッコつけているのではない。ここの店に出会ってからボクはコーヒーを一生かけて学んで愉しませてもらう伴侶と決めたほど、全神経を使った仕入れと管理をしている。
 だからかけがえなく美味い。このひとことだ。

 コーヒーは同じ種類、同じ産地の豆でも(”同じ木”でも)各店なりの焙煎法によって味が全く違ってくる。
 それが奥深く人間社会を学ぶようなのだ。 

 おいしい…のカタチはいくら有っても良い。ブラック党が青二才というのは、ボクはまだ各店のそれぞれの豆の味の誘い出し方を勉強している段階のビギナーすぎないからだ。
 クリーム混ぜてウンヌン…などの応用篇にまでは手が出せないでいるだけだ。

 ともあれ、イチさんは酒・タバコや夜更かしそれに読書(!)など、野球のアビリティを低下させる可能性のある生活要素を遠ざけてきた。
 ロッカーを宮古島キャンプ中一人飛び出して放送室を占拠していたのを曲げて書いた者がいたが、ロッカーは愛煙家にとってのオアシス。正しい嫌煙家は黙ってそこを出るのがスマートな対応なのである。
 
 なのに甘いものには目がない。しかも11時過ぎの夜更けなのにこうして甘いものを摂るという最悪の自己管理…この同居を許す彼の矛盾にはボクは思わずニッコリさせられる。

「マエノさん。とーぜんアリゾナには来るんでしょうね。」
 ”来なかったら今後は一線引くよ””異論なんてないでしょ…”という念を押す響きだった。

「ん、ああ、行きますよ。そりゃ」
 思えば99年春のアリゾナキャンプでもこんなカンジで”即決”だったっけ。

 ホントに日本の球界から去って行っちゃうんだなあ…。
 アリゾナでの再会を約束して大阪駅まで急ぐ。

(Part1 了