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集英社刊”前野重雄の球界遺産”


 3月26日の朝が明けました。関東地方は午後からはすっかり雨があがるそうです。
「花粉気味」の我々には恵みの雨となりました。

 ところで本日、集英社さんから私にとりま して初めての単行本が出版され、一生忘れられない日が始まりました。
 タイトルは「前野重雄の《球界遺産》」というタイトルで、カラー写真が見開き、その品物を愛用した野球選手の人物像について見開きで文章…といった形式であります。お値段?は申し訳けない、2800円もします(が野球帽が4300円もする…ならば?)ので今日の経済状況を考えますと”かなりのバクチ”を あの集英社さんがして下さったことをご理解 いただけることと思います。
 内容は週刊「ベースボール」に3年間連載を続けた124回分の中から同社が選んで下さった《48篇》をまとめたものです。

 ここで私は(小学生以来)収集してきた野球選手の”使い古し”を手にしては、そこに 刻まれた「キズ」や「クセ」から彼らの人間像を”上流”にさかのぼってプロファイリングする…といったいわば《虫瞰図》的アングルから日米のスーパースターの世界を覗き、意見を忌憚なく述べさせて頂く…【ライフワーク】を開始させました。
 
 「野球好き」のため…よりも「人間好き」 のためにはこうした角度からの手法があって いい。
  配本された紀伊国屋書店さんでは【スポーツ】だけでなく【人間・社会】等計4箇所に置くというまさに感動のご対応を下さ り、まことに作者冥利の初日であります。

 ここで出会った天才たちは誰もが寡黙で、ご自分を説明しない人種でした。ところが彼らが愛用した品はいずれも饒舌そのもの。
 これら”証拠写真”を分析され突き付けられてしまうと初めて口を開くのでした。中には当人の説明などまったく要らず、当方が戦慄するほどのオーラを今も放ち迫ってくる品もありました。

 「あとがき」的に申し上げれば、そうして解体してしまえば天才たちも我々と同じ柔らかさと温かさを持った生身の人間たちだった…ということでした。なあんだ(笑)。

 なおこの本の”腰巻”にはあのイチローさんが”禁”を破り、他人の営業行為に推薦の弁を下さり大いに感激させられました。彼はこうした行為をする事で他にもお世話になった方々に対し、”不公平という名での不義理”をしてしまうことに人一倍、神経質でやってきた人物です。
 ですからそれだけに感激も人一倍となりました。
 氏とは6年越しの”捜査(笑)”が実り、数々の証拠品と『イチローの秘密』に迫る傍証の数々が内容に(計4編)含まれているため、テレ隠しか(笑)お世辞を言って下さったのでしょう。

 いずれにせよこれを機会に、《品を金額》に換えてきた私の作風を、どうか《品を人の価値》へと換えて戴けますよう、ここ一番、皆様のお力添えを仰ぎたくキーを叩き、何とぞお持ちのお力やお知恵を頂戴し、登場された人間像を一人でも多くの人に知って戴きたい、またそれが自分が伝えられたかどうか試させて欲しいのです。

 どうかよろしくお願いいたします。      前野 重雄 拝


          
《球界遺産》主な索引

*引きちぎられていたネーム刺繍…野茂『メジャー挑戦』初グラブ

*スパイク中敷に穴あけるマクグヮイア『愛用スパイクの中敷』

*尊敬するメジャー選手との”トレード”で巨人高橋が放出した『グラブ+プロテクター』

*人類で最も守備の巧い男が愛したグラブ『オジースミスすりむきグラブ』

*世界的記者会見でも気付く者なかった『リ プケン、衣笠への謙譲ボール』

*年俸29億円Aロドリゲスの一生懸命『泥べったりの打撃手袋』

*四割打者のバット折った者は?『天才カッブのバットのヒビ』

*『一喜一憂』座右の銘書き涙おさめた『サンデー兆治復活グラブ』

*恵まれぬ子供らへの「夢の星」に還ったクレメンテの『ゴールデングラブ賞』

*誰もが知っているのに、誰も識らなかった『イチローバットの謎』

*"3千本"安打グゥイン思わぬドケチ?『打撃手袋改造法』

*"ネームを入れて魂入れず"?大スター、ピアザの『手抜きスパイク』

*日本球界歴代最高守備マシン辻初彦『グラブ』にこもる頑迷
*長嶋茂雄の目指した「目標」打者は無名の一発屋『ノーム・キャッシュ』のバット

*メジャーオーナーらが「スト破り画策」…の、動かぬ証拠発見、『マイケルジョーダン、 94年刻印入りメジャーユニフォー ム』

*ケングリフィー「1000本塁打」狙うマル秘計画『特製ズボン下サイン入り(笑)』

*「夢の島」行き寸前!幻の『東京スタジアムのホームベース』

*ピートローズの指あとくっきり『最多得点 新記録達成スパイク』

*日本プロ野球界が抹殺謀った『圧縮バットと王868本』

*米野球殿堂から”返品”された福本豊『盗塁王世界一スパイク』

*強烈至極!!ホームランインパクトの痕跡残る『サミーソーサのバット』

*『通常ここには空かないはずの』穴をあけ打っていた『イチロースパイクの秘密』
  
*「鑑定法」は嗅覚動員!?、『グリフィー Jr.実使用グラブの”かほり”』

*同僚も知らなかった清原愛用「巨人ヘルメット」は『西武ライオンズ』入団以来の仲?!

*盗塁世界一『ヘンダーソンのスパイクが侵した』”検疫法違反”

*尻の破けを防いだ?『村山ザトペック投法』ユニフォームへの超工夫。

*世界一の野球帽は『帝国ホテルマネジャーのタキシード製?!』”究極の野球帽”。

*あえて「単身赴任」年の一着で臨んだダイエー王監督『胴上げユニフォーム』の真意。

*血まみれだった、『イチロー愛用グラブ』のプロファイリング・・・・・・

 等など・・・・・・さらに15篇 続きます。


待望の初単行本・出版当日
配った「ご挨拶メール」

ボクがどうしても手放したくないイチさん92年
ルーキー物。背中はスズキではなくイチロー
名。ファーム=バッグを自分で肩でかつぐた
め、肩・袖とホコロビがスターの下積み時代
の毎日を無言で表現している名品
だ。

 今、毎日のように書店へ行っては「タテ積み」状態(ご案内のようにあの本の装丁は”イチローの腰巻”ふくめ、この状態では壊滅的に目立たない)へと「無届け」で平積みにしてしまう…という「都市ゲリラ戦」を展開中(笑)です。

 足を運ぶようになって気が付いたんですが、書店でこの本の隣近所というと「森監督」と「江夏の独白」単行本が主敵(笑)なんですね。
 組織的に会社として”平積み運動”してるわけです先方は。

 だけど云われてるほど「森ベイスターズ」が強くないし、いまさら江夏さんといっても何冊も出ているからその山が低くなんないのネ。
 ちょっとそこんとこ”救い”だったけどね。
 売れなくてどっさり在庫があるより、部数自体が少なくて売れていない、その方が気がラクにはラクだけど。

 でも憎らしい事にテキはフラッグというか、出版社から送られたPOPがプラプラ付いていて目立つのね、たいがいその近所にボクの本があるので直行できて便利…だ、なんて感謝していられないけども、その2冊の脇とか、その両側平積みにはさまれて《球界遺産》がタテ積みされて二冊ばかり”気を付け”状態でやんの、このS省堂のヤロー。なんか「捕まった宇宙人」みたいですよ。ホンマに。

そんなん。ボクは容赦ないですよ、片側の”山”を切り崩してタテには
さみ、こっちの本を”八合目くらい”から頂上まで乗せちまうって寸法でさあ。
 なんと豪華な平積みでしょうわはは(笑)。

 こちとら私服監視員に「あんたナニやってんですか」なんて摘発されたら
『作者だ、これも表現カツドウの一端なんだから放って置いてくれ』と言い返してやる所存なわけです。事務所までちょっと来て…と検挙されようが
『ウチの売上げはおタクの売上げ、こうすれば必ず売れる!』ト、
杖の上に両掌重ねちゃったりして、力説しようか…ト、とにかく理論武装しているからね、あちらはたかが雇われ監督とかじゃないですか(尊敬してるけど)、お二人とも他に稼ぐ途はあるわけです。

 こちとら”ライフワーク”ですよ、志がそもそも違う、「腰掛け的出版」
じゃないんだから…でも考えてみると森さんの本もYBが開幕して成績ポシャっているから、誰〜れも「森の新しい野球…の秘訣ってココに書いてあるのか〜」なんて客こないものね〜、出版社が飛ばすのもワカるぞこの危機感。ほとんどギャンブル同然だものね。

《球界遺産》の2800円…という定価のハンデでは相当大きいらしく、今の出版界の常識では集英社にコレ以上の無理はさせられないワケで、セールスに文句を云ったら『ならもっと安い本にしろ』と突っ込まれるに決まってるワケです。

 だから今日もゲリラに出撃というのが自然…なのです、エラいなあ。
それにつけても《チーズどこ…》のF社はいいなあ、どこ行っても勝手に目立たせてくれてますよ。
 そもそも”原価が安そう”だから、ボーナスが楽しみだぜい…じゃないですか。これで「新しい教科書」まで広範に採用された日には社員全員”殿様”ですよ(笑)。

ともあれ”店員さんの目を盗んで手をつい出してしまう…非合法活動(笑)は精神を消耗するんでしょうか、帰宅するとガックリ、眠ってしまうんです。自分でもエラクくたびれているのが判ります。

*そうなんです、大阪・東京(新宿・神田・銀座・某Tタヤ・PARCO・東京ドーム*敬省略)の書店歩いてますが、先の”販促”行動も、できる本屋ならまだマシで、その中で意外な店舗で”売ってない”んです。

「格闘技方面」にもツオい方々ならすでにご案内の、東京ドーム横「山下書店」っつうのが、同時に「野球界」でも総本山的であって、ここは有名な【おタク細胞】が地方からも物色に来てまとめ買いする店なんです。
ここにはいかなるミニ出版社から出された野球関係の出版物も並んでいます。
ドーム開幕戦、春休み、「殿堂(野球体育博物館)見学」…ごった返していました……「でも1冊も”無い”」。これってショックでした。
あの広〜い池袋PARCOにも無い時はちょっとめまいがしましたね。
とても残念なんですけどはっきり言えるのはどの店も”売り切れた”ってわけじゃない(笑ってる場合じゃない)んですね、これが(笑)。

 だから山下さんで買えなかったという上京しドーム観戦のお客さんが何人も、そこから40分も離れたウチの店に買いに来ちゃうワケですよ。
 この書店にはハナから仕入れてもらってないんでしょうね。
 
 山下さんの売り場では固まったまま考えましたね…ここ一番、二冊持っていたし、。『卸してみようか?』イヤイヤ、
『上げます、ただ”非売”見本にして下さい…と頼むか』
 20分くらい大きな店ではないんだけど出たり入ったりして、紙袋下げてかなり、イヤ完全に怪しかっただろうなあ。(笑)

『差し上げますので読んで下さい』
次回行ってもし置いて無かったら、レジのマネジャー風の人にこう云って一冊上げてしまおう。これが結論でした、考えさせられたなあ。
 ちなみに集英社はそこから5分だけど…(笑)。

 ただその直前、巨人の選手(清原・上原・村田真)はじめ、現場の選手らやTV局の映像方面関係者からのウケがもの凄くいいんで、「二次的」な遅れてやってくるプロモーション効果が期待できるんですけど。
(後略)
ご理解ありがとうございました。
前野 重雄 拝

追伸:出版とは格闘技だ!

このままじゃ売れん…ならばゲリラ戦だ!(笑)

 意外や意外!フタを開けてみたらサア大変!。他社の販売部諸氏が書店にドサッと本を運び込んでは自社の本をバンバンそこらを片付けちゃあ、「平積み」にしてしまうのである。
書棚に
「差し込んである本の表面積」vs「ポンと表紙を天井に向けて”サァ持ってけ状態”の表面積」ではケンカにならないほどに競争力が違う。
 それどころか、ライフワーク集大成として目に入れても痛くないはずのボクの本が筆者自身が見付けられらないほどズバリ”目立たない”。
1、そもそも置いてもらっていない。2、仕入れてもらってはいるが棚に突っ込む分、1冊程度しかない。3、申し訳ないが、あれだけの激戦書棚に入ってはあまりにも自己アピール力に乏しい背表紙デザインだった。等など。そんな悠長な事は云っていられない。
 本とは、出しておけば売れる…というものではなく”売る”ものらしいのだ。
 エライこっちゃ。左ウチワ気分でいたボクは身辺整理して当面、《球界遺産》を売る=読んでもらうための闘いに全力を集中して行く事にした。

 ボクはそもそも下っ端ジャーナリストだけど、考えてみたら商店の息子である。負けちゃいられないのである。

で、こんなメールを配って関係者に協力を仰いだ

更に苦闘は続く

辻はグラブをけして寝かさ
ずに”立てて”置く。湿気で
重くなるのを防ぐためだ

出版とは格闘技…なのかも知れない